緑の丸々とした体がかわいい「カカポ」
ニュージーランドだけではなく、世界中にファンが多い飛べない鳥です。
この記事では、カカポの生態を徹底解説!
世界の中でもニュージーランドに252羽のみ(2022年8月現在)、絶滅寸前の飛べないオウムカカポ。
動画のように人懐っこく、男性に恋して頭の上でダンスしてしまうかわいい一面も。
この記事では、飛べないオウム「カカポ」を次の内容で詳しくご紹介します。
【この記事の内容】
- カカポの体長や体重・匂いや生態は?
- 変わった繁殖方法とは?
- カカポ求愛の鳴き声は?(音声あり)
- 飛べない理由や絶滅した原因は?
- 個体数の推移は?
- 保護活動に募金で協力する方法は?
記事を最後まで読めば、カカポについて詳しくなること間違いなしです。
カカポってどんな鳥?という方、またカカポ熱烈ファンの方はぜひご覧ください。
カカポの体長や体重・食べ物は?
出典:DOCウェブサイト
カカポという名前はニュージーランドの原住民マオリの言葉、その意味は
カカポは世界の中でも最も長寿の鳥の一種として知られています。
なんと80年以上も生きられるんですよ。
草食のカカポの食べ物は木の根、葉や実、その中でも好物は「リム」という木の赤い実↑です。
カカポは、体長が約60cm
でオスは2~4kgほどにもなります。
繁殖行動を始める前には、1kgもの脂肪をためられるんですよ。
出典:DOCウェブサイト
驚いたり天敵にあったときは、その場で動かなくなってまさに微動だにせず
で森に溶け込み身を守ります。
性格は個々の鳥によって異なり
気難しいカカポ
もいます、まるで人間みたいですね!
カカポの特徴を表にまとめてみました。
- 体が大きく見た目が愛らしく
- 羽は美しいモスグリーン
- ニュージーランド固有で絶滅危惧種
- 飛べない
- 夜行性のオウム
実際に会ったカカポのようすはコチラ!
関連記事>>>【生カカポ見学】シロッコに会えたよ!人懐っこくかわいい姿に感動
カカポの生態や体の特徴は?
出典:DOCウェブサイト
カカポは見た目が丸くて大きくかわいい鳥ですが、体にはいろいろな特徴があります。
森の中で夜に
に大切な機能なのでいくつかご紹介しますね。
- 大きく強いくちばしと舌
出典:DOCウェブサイト
とても大きくて印象的なくちばしは木に登ったり、けんかをしたり、食べるときに使われます。
くちばしの内側には溝があり、木の実を噛み砕いて汁を飲みます。
舌も強くて大きく、舌を使って食べ物をくちばしの内側でつぶして消化しやすくします。
- 足の形は対指足(たいしそく)
出典:flickr
2番目と3番目が前方を向いています。
このしっかりした足で、リムの木に20mほども登って実を食べられます。
- 大きく柔らかくて美しい羽と尾
出典:flickr
大きな羽と尾で木に登るときや降りる時にバランスをとります。
また羽は大変柔らかく、体を暖かく保つのに役立ちます。
美しい「モスグリーンと黒いまだらなしま模様」の羽によって森の中で姿をカモフラージュし、身を守ります。
- 大きな耳
カカポは夜行性の鳥のため
天敵から身を守る
ために大きな耳でよく聞くことはとても大切です。
- ブーンサック
出典:Notornis and Birds New Zealand
オスの胸には繁殖行動の時に「ブーン」という大きく低い鳴き声を出すための袋があります。
- 強い匂い
は尾の近くにある腺から出され、繁殖の時期には強くなります。
特徴豊かなカカポ、いったいニュージーランドのどこに住んでいるのでしょうか?
カカポはどこに住んでいる?
出典:DOCウェブサイト
カカポはニュージーランドに人類がやってくる前、山の頂上、森、草原などいたるところに住んでいました。
しかし数が大変減ってしまった現在では野生の猫・イタチ・オコジョ・フェレット・ネズミや犬といった天敵のいない次の3つの島で保護されています。
【カカポの保護区】
- コッドフィッシュ島
- アンカー島
- リトルバリア島
この3か所の保護区でカカポが安全に暮らせているかを、島にいるスタッフが常にチェックしています。
NZの南西に位置するアンカー島はオコジョが泳いで到達する距離にあります。
そのため捕獲器を使い、オコジョが繁殖しないように警戒しています。
コッドフィッシュ島とリトルバリア島はオコジョが到達する危険性はありません。
しかしネズミが増えないよう、駆除活動が行われています。
出典:DOCウェブサイト
カカポはそれぞれ固有の名前が付けられ発信機を装着していて、どこにいるかを知ることができます。
この発信機は毎年交換され、そのときに健康診断も行われますよ。
カカポの変わった繁殖方法とは?
出典:Terraウェブサイト
カカポは毎年繁殖を行わないため、個体数がなかなか増えません。
繁殖行動を起こす時期はエサの1種類であるリムの実がたくさんなる、2~3年に1度です。
そんなカカポの繁殖行動には、めずらしい点がふたつあるんですよ。
- 「レック」という求愛行動
- つがいで子育てをしない
ではそれぞれの特徴についてご紹介しますね。
①求愛行動「レック」とカカポの鳴き声・音声
カカポの繁殖行動は、世界のオウムの中でもカカポだけが行う
Lek
という変わった方法です。
出典:DOCウェブサイト
リムの実がたくさんなった夏、12月頃の夜になるとオスのカカポは通り道に作ったくぼみに入って
「ブーン」の鳴き声を再生できます↑
「ブーン、ブーン」という5kmほど離れていても聞こえるほど大きな低い声で、20~30回鳴いた後に
「キィー」の鳴き声を再生できます↑
という金属的で高音の「キィー、キィー」という声で鳴きます。
この繰り返しをなんと
毎晩
2~3ヵ月
も続けるんですよ!
メスのカカポはこの声を聴いて、オスの中からパートナーを選びます。
②子育てはお母さんがすべて行う
出典:Stuff
もうひとつ鳥として珍しいのは
ことです。メスが
【カカポのお母さんは大忙し】
- 巣作りをし
- 卵をあたため
- ひなを育てます
卵は1~4個が多く、約30日でふ化します。
ひなは約10週間で巣を離れますが、お母さんは約6ヵ月ほどエサを与え続けます。
では次に、カカポが飛べない理由と、なぜ絶滅寸前まで数が減ってしまったのかをみてみましょう。
カカポが飛べない理由は?
出典:DOCウェブサイト
ニュージーランドは羊や牧場が多い国、といったイメージがありませんか?
でも実は、もともと陸地には哺乳類動物がたったの2種類の「コウモリ」しかいない
でした。
鳥たちは地上で襲ってくる天敵がいないので飛ぶことをやめ、ちょこちょこと歩き回って生活するようになります。
中には巨大なワシもいましたが、カカポは上空に天敵を察知すると
その緑の羽のおかげで、空から見ると森の一部のようにカモフラージュ
できました。
カカポが絶滅した理由は?
鳥の楽園だった大昔のニュージーランド。
しかし、1,000年ほど前にやって来たマオリの人々や、1,800年代にはヨーロッパ人がたくさんの動物を持ち込んできます。
- ネズミ
- 犬
- 猫
- イタチ
- オコジョ
- フェレット
人間や動物によって、カカポを含めた飛べない鳥は
生息地を焼き払われたり
他の動物によって食べ物を奪われ
減少の一途をたどり、巨大な飛べない鳥「モア」のように絶滅していきます。
特にカカポは強い匂いがあり気づかれやすく、繁殖時期には狭い地域に集まるため、一気に捕まえられてしまいました。
人間の到来から残念ながら絶滅への道をたどってきたカカポ。
現在では次のように、NZの国をあげて保護活動が行われています。
カカポを救う保護活動とは?
出典:DOCウェブサイト
1894年に政府は初めてカカポを救おうと動き出します。
しかし、カカポを数百羽を移動させたレゾルーション島にオコジョが泳ぎ着き、島のカカポを絶滅させてしまいます。
1949年から1973年には、南島のフィヨルドランドでカカポを探す遠征が60回以上も行われました。
結果は、たったの6羽しか捕まえられませんでした。
と思われましたが1977年までにはさらに18羽が発見!
でもメスは1羽もいませんでした。
そんな中、1977年にうれしいニュースが飛び込んできます。
200羽のカカポが、イタチの全くいない南方のスチュワート島で見つかったんです。
しかし、残念ながらこの島のカカポも野生の猫によって数が減っていきます。
1987年には環境保全省(DOC)が「カカポリカバリー活動」を始めます。
見つかったカカポは先ほどご紹介した3つの島に移動されています。
カカポの個体数は?
2022年は1970年代以来の数の増加がみられ、
となっています。
出典:DOC : Bumper breeding season boosts Kākāpō population
下は1970年代からのカカポの数の推移グラフです。
2020年に個体数がかなり増え、そして2022年も人工授精や人工飼育のおかげもありヒナが元気に育っています。
自然保護庁のデータを総合すると、推移は以下のようになります。
年 | カカポの数 |
2008 | 91 |
2009 | 124 |
2010 | 122 |
2011 | 128 |
2012 | 125 |
2013 | 124 |
2014 | 127 |
2015 | 125 |
2016 | 125 |
2017 | 154 |
2018 | 148 |
2019 | 213 |
2020 | 210 |
2021 | 204 |
2022 | 225 |
このまま、300、500と増え続けていってほしいですね!
募金や寄付でカカポを守りませんか?
出典:DOCウェブサイト
環境保全省(DOC)では「カカポリカバリー活動」の一環として、特定のカカポを養子にするという形で援助を求めています。
100ドルから500ドルの寄付を行うと、証明書やぬいぐるみが送られる仕組みです。
興味のある方はこちらのページをご覧くださいね。
以下のような募金は下のリンクのぺージから行えます。
- 1回限りの募金 One-off donation
- 毎月継続する募金 Monthly donation
カカポの生態や歴史・保護活動のまとめ
この記事では、カカポの生態から飛べない理由や、絶滅の危機にひんしている原因などをご紹介しました。
あなたもカカポについて、かなり詳しくなったのではないでしょうか?
ところで、普段は無人島で保護されているカカポですが、たまにニュージーランド本土で会えるとご存じですか?
2018年、ダニーデンにカカポの「シロッコくん」がやって来たときに見学に行ったので、ぜひこちらの記事もご覧になってください。
関連記事>>>【生カカポ見学】シロッコに会えたよ!人懐っこくかわいい姿に感動
コメント
初めまして。
最近カカポの存在を知り、シロッコくんに会ってみたいと思いこちらにたどり着きました。
先ほど謝って途中でコメントを送信してしまいました・・・。
一般お披露目がある際は、是非わたしもシロッコ君に会いに飛んでいきたいと思っています!!
これからも色んな記事を楽しみにしています^^
mizuiroさん、始めまして!ブログへのコメントありがとうございます!
シロッコ君愛らしいですよね~、ぜひ次回のお披露目の際は会いに来てください(*^^*)
最近ブログの更新が進んでいないのですが、ツイッターもしているのでもしよろしければご覧ください。
https://twitter.com/mayumi_dunedin
これからもよろしくお願い致します!
真弓