ニュージーランドのダニーデンでは、その昔、路面電車や丘にはケーブルカーが活躍していました。
しかし、車の一般化により、残念ながら運行はストップ。
ところが、この度一部のケーブルカーを復活させる活動が行われています。
この記事では、サンフランシスコのシステムと同様の、ダニーデンの珍しいケーブルカーシステムなどについてご紹介します。

ケーブルカーとトラムの違いも知りたい!
ダニーデンの町では1880年代~1950年代後半までの間
- 路面電車(トラム)
- ケーブルカー
が活躍していました。
でも近年になると自家用車やバスがとって代わり、その役目を終えています。
そんな忘れかけられていたケーブルカーが、70年の月日をへて復活する!
というニュースがダニーデンで話題になっているので、内容を詳しくご紹介します。
ケーブルカー・路面電車・ロープウェイの違いは?
ケーブルカーと聞くと、路面電車?ロープウェイ?とちょっと違いが分かりにくくないでしょうか?
簡単に違いを説明します。
①路面電車(トラム)
路面電車とは
のことで、構造上急な坂道はのぼれません。
日本では1895年に、京都市の「京都電気鉄道」が初の路面電車の営業運転を始めました。
②ケーブルカー

出典:ぐるリッチ!北Q州
ケーブルカーとは
のことで、急こう配も走れます。
日本では1918年に、「生駒鋼索鉄道(現在の近鉄生駒鋼索線)」が初めてケーブルカーを運行しました。
③ロープウェイ
ロープウェイとは山岳の急な斜面などの
のことです。

今回紹介するのは2番のケーブルカーだよ。
ダニーデンのケーブルカーはかなり特別なんですよ!
ダニーデンのケーブルカーの特徴は「循環式ケーブルカー」
日本を含め、一般的なケーブルカーは
- 交走式(つるべ式)
といいます。
その仕組みは、
図でいうとこんな感じです。(ケーブルカーに乗ろうからお借りしました)
一方ダニーデンのケーブルカーは、次の大変珍しい方式です。
- 循環式ケーブルカー
仕組みは、
ケーブルは道路の下に埋められています。
この方法は現在アメリカのサンフランシスコ↓でしか見られません。
サンフランシスコとダニーデンのケーブルカーの技術的な点に関し、以下のサイトに詳しく書かれています(英語)
日本では「循環式ケーブルカー」は使われたことがなく、横浜博覧会の会場で期間限定で運用されたものだけです。
地面の下のケーブルをつかんで走り、離して止まる仕組みなので「循環式ケーブルカー」のレバーを操作する車掌さんのことを
と呼びます。
ダニーデンケーブルカーの歴史
トラムやケーブルカーは、馬車にとって代わって利用されだした乗り物です。
1860年に始まったゴールドラッシュの恩恵を受け、ダニーデンは大変豊かな町になりました。
同時に、人口が急激に増え、公共交通機関が必要となりました。
↑セントジョセフ大聖堂の前を走るケーブルカーの様子。
ダニーデンのカトリック教会「セント・ジョセフ大聖堂」はとても美しいですよ。
こちらの記事で詳しくご紹介しています。
関連記事>>>【セント・ジョセフ大聖堂】は丘の上にある美しい教会
ケーブルカーの運行が始まったのは1881年。
トラムやケーブルカーはダニーデンの人々を会社、学校などへ送る主要な足となりました。
↑前にベビーカーだって乗せられます(*^^*)
でも時代と共に人々は車を所有するようになり、バスも増えてきたことでトラムやケーブルカーを利用する人が減っていきます。
↑人数制限関係なしにたくさんの人が乗っていますね(^^;
その結果、1957年3月2日をもち、ダニーデンのすべてのケーブルカーの運行が終了。
その歴史に終わりを告げました。
当時運行されていたケーブルカーの路線
↑学校に遅れまいとケーブルカーに飛び乗る女子高校生
当時のダニーデンには、ケーブルカーが5線路運行されていました。
見づらくて恐縮ですが、地図の
- 点線部分がケーブルカー
- 線がトラム
で、町中にシステムが張り巡らされていました。
① Roslyn(ロズリン) と Kaikorai(カイコライ) | 2.3 km |
② Stuart Street(スチュアート通り) | 1.9 km |
③ Mornington(モーニントン) | 1.6 km |
④ Maryhill Extension(メリーヒルエクステンション) | 0.8 km |
⑤ Elgin Road Extension(エルジン通りエクステンション) | 1.4 km |
4番と5番の「エクステンション」というのは細い道を走る「ミニケーブルカー」のことです。
上の写真は4番の「メリーヒルエクステンション」は世界でも最も急な路線として有名でした。
当時人々は「まるでローラーコースターのよう」と言っていたそうです。
そしてこの度復活するのは、3番のモーニントン路線です。
モーニントンケーブルカー復活の計画
モーニントンは私の住んでいる地区で、先日散歩に出かけたらこのケーブルカーが止まっているではありませんか!

ケーブルカー復活するの?
と聞いたら、関係者のおじさんが親切に4段階の計画を教えてくれました。
【モーニントンケーブルカー復活への計画】
- 仮の車庫にケーブブルカー3車両を収める(今この段階)
- 6車両収められる2階建てのケーブルカービルを建てる
- 町から丘の上のモーニントンまで道路の下にケーブルなどを埋める工事をする
- ケーブルカーの運行開始
モーニントンの丘の上の駅周辺には、カフェ・ケーブルカー博物館・レストランなどができる予定です。
おじさんは
「オープンの日には首相に来てもらうように依頼した!」
と言っていました(*^^*)
計画の実行には、サンフランシスコからも応援が来てくれるそうです。
今は実現するための資金2千3百万ドル(約18.5億円)を出してもらうように政府に掛け合っています。
着々と計画は進んでいるようで、すでに2車両がダニーデンの車庫に待機しています。
中はこんな感じで、乗り心地もよさそう。
ダニーデンは、クルーズ船に乗った観光のお客さんがたくさん来られる観光地。
人気のある観光アトラクションになりそうです。
モーニントンには、芝生が広がりのんびりできる公園もあります。
ケーブルカーがダニーデンに戻って来た時の映像
ケーブルカーは、それぞれの役目を果たした後にクライストチャーチなどに移動されました。
しかし、この度ダニーデンにそのうちの2台戻ってきています!
そのときの動画を載せておきますね。
Mornington111号
Roslyn 95号
ダニーデンのケーブルカーのまとめ
ケーブルカーの復活、まだまだ先は長いですが計画は着々と進んでいます。
- サンフランシスコ
- ダニーデンの小さな地区モーニントン
にしか存在しないケーブルカーの復活が今から楽しみです。
計画の進み具合は、こちらのウェブサイトでチェックできますよ。
参考リンク>>>The Mornington Cable Car
コメント