ニュージーランドの観光地でも見られるようになった、マオリの伝統的儀式「ハカ」
この記事では、ハカが始まった伝説や歴史、そしていくつかの違ったハカの種類をご紹介します。
ハカというと、ニュージーランドのラグビー代表チーム「オールブラックス」が試合の前に披露する儀式を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか?
このハカは、もともとニュージーランドの先住民である「マオリ」の人々が、儀式として行う伝統的な踊りです。
特徴は複数人のグループで、太ももや胸を叩く力みなぎる動きと、足を踏み鳴らしてリズミカルに歌うところ。
そんなハカについて、この記事では歴史や5つの種類を紹介します。
ニュージーランドのハカその歴史は?
ハカは戦いの踊りという印象が強いのですが、実はマオリの伝説によると「生命を祝福する踊り」と説明されているんです。
マオリの人々は約1000年ほど前、ポリネシア地方から大きなカヌーにのってはるばるニュージーランドの地へと渡ってきたといわれます。
彼らはニュージーランドの国の名前を次のように名付けました。
白く長い雲のたなびく場所
さてハカの始まりをしめす伝説によると、太陽の神「タマ・ヌイ・テ・ラ」にはふたりの妻がいたそうです。
夏の女神「ヒネ・ラウマティ」と冬の女神「ヒネ・タクルア」。
そして人々が次のようにいったのがハカの始まりです。
ハカでは手のひらをヒラヒラと小刻みに震わせます。
この動きは、夏の暑い日の陽炎(かげろう)を表現しているんです。
そのあとヨーロッパ人が到来するのですが、ハカやマオリの文化に対しては好意的ではありませんでした。
ジェームス・クックが1769年に初めてニュージーランドに来たとき、次のようにびっくりした記録が残っています。
そしてヨーロッパ人たちはマオリの文化やハカを撲滅させようとしましたが、うまくはいきませんでした。
幸いにもハカの伝統は続けられたのです。
出典:RNZ
現在では男性だけでなく、女性や子供によってもハカが披露されるんですよ。
そしてなんといっても、最近ではラグビーのハカがよく知られています。
1888〜1889年にニュージーランドのラグビーマオリチームが、国際試合でハカを披露したのが始まり。
そして1905年からは、オールブラックスも試合の前に士気を高めるためにハカを始めたことで世界的に有名になりました。
ニュージーランドのハカにはどんな種類がある?
ハカにはいろんな種類があるとご存じでしょうか?
動画とともにいくつかご紹介します。
Peruperu Haka(ペルペル・ハカ)
「ペルペル」と呼ばれるハカは、戦いの前に士気を高める踊りです。
伝統的に戦闘の前に行われる儀式。
武器を持ち、目を見開いて舌を突き出し、相手を威嚇(いかく)するのが特徴です。
Ngeri Haka(ンゲリ・ハカ)
「ンゲリ」は士気を上げるために行われるハカ。
決まった振り付けがなく独自の動きができるハカで、武器を持たずに踊ります。
上の動画の「カ・マテ」が代表的なウゲリ・ハカです。
オールブラックスが試合で1番多く披露するのがこの「カ・マテ」。
選手の振り付けは上の動画と若干変わるので、下の記事で比較するのも興味深いですよ。
Taparahi Haka(タパラヒ・ハカ)
「タパラヒ」は、儀式で行われるハカで武器を持たないハカです。
力強くたち、左足は地面につけたままで踊ります。
Manawa Wera Haka(マナワ・ウエラ・ハカ)
「マナワ・ウエラ」はお葬式で行われるハカです。
動画は、オールブラックスのスターだったジョナ・ロムー選手が、40歳の若さで亡くなったときに踊られたマナワ・ウエラ・ハカです。
そのほかに、誕生日や結婚式で披露されるおめでたいお祝いのハカもあります。
そしてハカはニュージーランドに重要なゲストを歓迎するときや、社会的に重要な場面にも踊られ、重要な役割を果たしています。
Kapa O Pango(カパ・オ・パンゴ)
オールブラックスが試合の前に披露するハカには、先ほどの「カ・マテ」のほかに、「カパ・オ・パンゴ」も有名です。
カパ・オ・パンゴはオールブラックスのために特別につくられたハカで、2005年に初めて披露されました。
ハカの歴史や種類のまとめ
この記事ではニュージーランドの先住民マオリの人々の儀式「ハカ」の歴史や種類をご紹介しました。
始まりは、太陽の神と夏の女神の息子が踊りだしたこと。
そして戦場で相手と戦う前に威嚇や心を鼓舞させるための儀式として行われてきました。
現代では武器を持たずに披露するハカがもっとも一般的で、ラグビー選手や女性や子供も踊ります。
またゲストを歓迎するとき、なにか大きなことを成しとげたとき、そして結婚式やお葬式でも行われる儀式です。
実際に見ると体全体を使った力強い動きや、激しい表情、叫び声などに感動しますよ。
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