ニュージーランドのダニーデンにあるラーナック城は、人気のある観光地です。
実際は、お城の形をした豪華な個人の邸宅。
この記事では、ラーナック城の悲しい歴史と内部や庭園の雰囲気を写真付きでご紹介します。
NZはヨーロッパの影響を受け、お城がたくさんある?
と思っていたのですが、実際にはダニーデンにひとつあるだけです。
ヨーロッパの人の歴史は1000年。
ニュージーランドに先住民のマオリの人々が到来したのは、1100年ほど前といわれています。
そして、ジェームスクックがニュージーランドを発見したのは1769年。
たったの250年前のことで、NZは歴史が浅い国です。
このニュージーランドに唯一のお城、ラーナック城は豪華なたたずまいですが、悲しい歴史を静観してきました。
この記事では、お城の主や歴史、そして内部の様子などをご紹介します。
ラーナック城とラーナック氏の歴史は?
ラーナック城は、ダニーデンの中心地から約12kmほど離れたオタゴ半島にあるお城です。
オタゴ半島は上の写真のように細長く突き出ていて、車で走るとオタゴ湾や太平洋の絶景が楽しめます。
さて、美しいロケーションにあるラーナック城の主は誰だったのでしょうか?
ラーナック城は大富豪で政治家でもあった
により、1871年から12年もかけて建造されました。
ラーナック氏の人生は波乱万丈の物語です。
ラーナック氏はオーストラリアのシドニーの出身。
ニューサウスオブウェールズ銀行の支店長などを勤めたあと、1866年にオタゴ銀行の総支配人職を得て、ダニーデンにやってきました。
彼はダニーデンで順調な投資やビジネスなどで、巨大な富を築きます。
出典:ラーナック城公式サイト
そして妻エリザのために、美しいオタゴ半島にラーナック城を建設し始めます。
しかし残念ながら、彼のビジネスマンとしてのキャリアはかげりを見せ始めるんです。
1875年、彼は政治家として出発することを決めます。
しかしその後、彼は家族の不幸に次々と見舞われることになってしまいます…
1880年11月に愛妻のエリザさんが脳梗塞で急死してしまうのです。
続いて、1882年に2番目の妻となったメリーさんも1887年に病気で亡くなってしまいます。
そしてなんと、愛娘のケイトさんまでが相次いで1891年に腸チフスによって亡くなる。
という悲劇が起こります。
彼の悲しみはきっと計り知れないものだったでしょう。
結局彼は3度の結婚をして、6人の子供をもうけました。
しかしラーナック氏自身は政治家人生にも波に乗れず、ビジネスもうまくいかなくなってしまいます。
そしてラーナック氏はついに、1898年国会議事堂で自ら命を絶ちました。
このような素晴らしいお城をつくったにもかかわらず、家族の相次ぐ死や、金銭的な問題で幸せな人生を過ごしたとはいえなかったんです。
こんなすてきなお城を私たちに残してくれたラーナック氏に感謝したいと思います。
豪華なラーナック城と庭園の様子
ラーナック城は、ダニーデンの次のような有名建築物を手がけた、ロバート・ローソン氏によって設計されました。
- ファースト教会
- オタゴボーイズ高校 など
関連記事>>>【ファースト教会】ダニーデン中で見られるそびえ立つ尖塔が美しい建物!
200人もの工夫が働き、内装はヨーロッパからの熟練工によってほどこされています。
このぜいたくの限りを尽くしたお城には、43のお部屋、総勢46人もの使用人が働いていたそうです。
お城の外観と内部の様子
ラーナック氏が自ら命を絶って約70年後、ベーカー夫婦が1967年にラーナック城を買取ります。
お城全体が見事に修復されました!
ではさっそく豪華な玄関の階段を上がっていきましょう。
トイレはメインの建物内にはないので、入る前に、お城に向かい右側にあるトイレを利用しておくことをおすすめします。
スタッフに確認したところ、城内ではフラッシュを使わなければ写真撮影OKです!
入り口の階段では、りりしいライオンの像がお出迎えしてくれます。
館内の入口近くには日本語のパンフレットがあるので、スタッフに聞いてぜひ一部もらってくださいね。
カラーでいいおみやげにもなりますよ。
パンフレットは見学ガイドになっていて、内部の地図が書かれています。
では順路通りに進んでみましょう!
1階はお城の歴史を知る博物館
階段を上って入った入り口は2階になっているので、まず1階におりて歴史博物館へ。
ラーナック城とラーナック氏の家族をめぐる歴史について、詳しく説明されています。
2階はゲストをもてなす豪華な部屋の数々
再び2階に上がってきたら、ぐるっとバルコニーを回って音楽室へ。
このバルコニーには、ガラス窓が入れられています。
オーストラリアから来たラーナックさんにとって、ダニーデンの気候は寒かったようです。
重厚な雰囲気の音楽室では、ミュージカルの夜会や軽食パーティーが行われました。
音楽室から出て正面右側にダイニングルーム、食堂があります。
落ち着いた雰囲気のダイニングルーム。
天井にはお花や蝶々、鳥が彫られていて超豪華!
この下に台所があり、できたての食事が小さなエレベーターのようなもので運ばれていました。
現在は、ラーナック城の宿泊施設に滞在すると、この食堂でお食事ができます。
さて食堂を出てまっすぐ歩くと、正面ロビーに着きます。
この透かし窓はベネチアのガラス。
ロビーの天井にほどこされた彫刻は、3人の職人さんが3年もかかって完成させました。
ロビーの床には、スコットランドの野生の猫がモチーフのモザイクタイル。
ザ・キャンプというのは、ラーナックさんがつけたこの土地の名前です。
このロビーには左右に対になるふたつの部屋があります。
まず、正面入り口に向かって左手が図書室という紳士が夕食後に過ごす部屋。
右手が客間という貴婦人たちが過ごす部屋。
女性用のお部屋は全体的にパステルカラーで柔らかい感じがすてきです。
さて、2階の豪華さを堪能したら、らせん階段で3階に行ってみましょう!
3階は意外にシンプルな寝室
3階には寝室が3つありますが、まず階段を上がって正面がウイリアム氏の主寝室です。
次のような素晴らしいお庭が一望できるお部屋。
当時はご主人と奥さまは別々の部屋で寝ていたようです。
次のようなダニーデンの冬の寒さをしのぐ工夫がされています。
- 窓が2重
- ベッドの上に暖炉の熱い石で布団を温める鍋
こちらは奥さまの寝室。
2階のゲストをもてなす部屋などと比べると、寝室はシンプルなのが興味深いところです。
一説では、ラーナック氏が「寝室は人が来ないからお金をかけなくていい」と言ったとか。
そして、あとひと部屋はなぜかちょっと怖い雰囲気!
3番目の奥さまのウェディングドレスなどが飾られています。
そしてもう1階らせん階段を上がると、子どもたちの部屋です。
4階は子供の小さい部屋
上にいくと、どんどんお部屋が小さくなっていきます。
赤ちゃんのお部屋のようですね。
あと一息、ぜひお城の一番上の展望台まで小さならせん階段で上ってみてください。
お城の最上階は展望台
てっぺんまで来た!という感じがします。
オタゴ半島とオタゴ湾の素晴らしい眺めが展望できますよ。
お土産屋さんで思い出の品を探してみては?
たくさんあるお城の部屋を堪能したら、出口のすぐ手前にあるお土産やさんもゆっくりご覧くださいね。
舞踏室の様子と不思議な伝説
お城には大きな舞踏室が併設されていますます。
この舞踏室はもともと、ラーナックの娘ケイトさんの21歳の誕生日のお祝いとしてプレゼントされました。
しかし先ほどもご紹介した通り、ケイトさんは残念ながら26歳の若さで亡くなってしまいます…
舞踏室にちなみ、ひとつ不思議な話が語り継がれています。
1994年にラーナック家の悲劇を舞台劇にし、お城の舞踏室で上演されました。
しかし劇中に大変な大嵐、雷が鳴り響き、稲妻がおき、ドアが勝手に開いたりしたそうです。
ラーナック氏はこの劇を面白く思っていなかったのではないか?と噂されています。
私も何度かラーナック城を訪れていますが、
- 豪華な建物
- 悲劇の歴史
- 素晴らしい庭園
がなんともミスマッチな感じがして、不思議な魅力を感じます。
また私の夫の弟はお城の舞踏室で結婚式をあげましたが、何ごともなく無事にすてきなウェディングになりました。
その際、家族はみんな敷地内のロッジで宿泊。
私はひそかにドキドキ。
でもとてもかわいいお部屋で、翌日の朝早く静かなときに庭園を散歩したりと、特別な思い出をつくれました。
ではその美しい庭園を最後にご紹介します。
ラーナック城で四季折々を感じる庭園
ラーナック城内には、四季折々の花が咲き誇るすばらしい庭園が広がります。
美しいガーデンは
に認定されているので、ぜひ時間をかけてゆっくり見てまわってくださいね。
お庭のパンフレットを見つけたら、ぜひ参考にしながら散策してください。
そしてラーナック城の敷地内には豪華なおうちから、手軽なロッジまでさまざまな宿泊施設があります。
ダニーデンで特別な夜を過ごすのにぴったりですよ😊
ラーナック城の詳細
ラーナック城へは車で行く方法と、町からツアーに参加する方法があります。
お泊りのホテルや観光案内所で問い合せてみて下さいね。
車で行く場合は、半島の道は細くてクネクネしてますので、どうぞ安全運転で!
住所 | 145 Camp Rd, Dunedin |
---|---|
公式サイト(英語) | http://www.larnachcastle.co.nz/Home |
入場料 | 大人34ドル(2020年8月現在) |
開館時間 | 毎日 8時〜17時(10月1日〜3月17日) 9時〜17時(3月18日〜9月30日) |
電話 | 03 476 1616(NZ国内から) +64 3 476 1616(日本の電話から) |
コメント